「出会い系」に潜む成りすまし会員


「出会い系」に潜む成りすまし会員ブログ:2014年11月03日


もう30年も前のことである。

大学の卒業を目前にした二月、
卒論の提出も終わって時間があったオレに、
バイトが急にやめてしまって、
次がみつかるまでの間でいいからと言われて
引き受けたアルバイトだった。

その店は、
マスター一人、アルバイト一人の小さな喫茶店だった。

勤め始めて7日間ほど経ったころの寒い夕方だった。
客も途切れ、暗くなり始めた町を行く人もまばらで、
「そろそろ閉めようか」とマスターが言ったとき、
店の表に親子連れが立った。

客は、二人のお子さんの手を引いた女の人で、
背中のねんねこにも赤ん坊が眠っていた。

どこか近在の村から出かけてきた母とお子さんであったろう、
お腹がすいたとお子さんにせがまれて
通りかかったこの店に入ってきたのかもしれない。

オレは水の入ったコップとおしぼりをテーブルに運び、
注文を聞くと、
母は表のショーケースを指差すようにして、
「あの赤いうどんを下さい」と言った。

赤いうどん?
オレは一瞬とまどったが、
イタリアンスパゲティだとわかり、
「三つですか?」と聞くと、「ひとつでいいです」と言う。

マスターは
オレが注文を伝えた時にはすでに調理にかかっていたが、
できあがった一皿は、いつもより分量が多めだった。
取り皿にお箸を添えて運んだ。

お子さん達はクチの周りを赤くして無心に食べている。
母は下のお子さんに食べさせてやっていたが、
自分は一筋もクチにしなかったようだった。

親子連れが帰った後、
マスターはひとこと「赤いうどんか…」とつぶやき、
「さあ、もう閉めよう」とあたりを片付け始めた。

それから間もなくオレはその店を辞めたが、
その母とお子さんのことは長く心に残った。

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